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熊本地震の地震保険の事故受付件数は15万件を超えました。(5月9日現在)これは1995年の阪神・淡路大震災(事故受付件数6万5427件・支払額783億円)を超える可能性が高いと考えられています。
阪神・淡路大震災:支払額783億円
東日本大震災:支払額約1兆3000億円
とかなりの地震保険の支払額に差があり、今回の熊本地震は東日本大震災に次ぐ規模の支払額になることを予測されています。
この地震保険支払額の増加には、度重なる大規模地震の発生により、地震保険に加入する方の割合が急速に増えていることが挙げられます。
地震保険の加入率推移
年度 | 加入率 |
---|---|
1994年度 | 9.0% |
1995年度 | 11.6% |
1996年度 | 13.1% |
1997年度 | 14.2% |
1998年度 | 14.8% |
1999年度 | 15.4% |
2000年度 | 16.0% |
2001年度 | 16.2% |
2002年度 | 16.4% |
2003年度 | 17.2% |
2004年度 | 18.5% |
2005年度 | 20.1% |
2006年度 | 20.8% |
2007年度 | 21.4% |
2008年度 | 22.4% |
2009年度 | 23.0% |
2010年度 | 23.7% |
2011年度 | 26.0% |
2012年度 | 27.1% |
2013年度 | 27.9% |
2014年度 | 28.8% |
出典:損害保険料算出機構
と1994年には9.0%だった地震保険加入者は2014年には3倍強の28.8%にも増加しているのです。
地震保険は必ず火災保険とセットで加入する保険で、火災保険の補償額の最大50%までしか保険金は支払われません。つまり、その保険金で立て替えることはできないということです。
それでも、生活再建の資金としては十分ですので、地震保険に加入して地震に備える方が増えているというデータなのです。
火災保険のみに加入していて、地震保険に加入していない方は、やはり検討すべき保険と言っていいでしょう。
ただし、良い点ばかりではありません。地震保険の保険金支払い額の増加は保険料アップにつながるのです。
地震保険の保険料はたびたび値上がっている!
2014年7月:全国平均15.5%の保険料アップ
2015年9月:将来的に19.0%の保険料アップが決定
2017年1月:全国平均5.1%の保険料アップ予定
その後2回に分けて:残りの13.9%の保険料アップ予定
なのです。
地震保険は民間の保険会社が補償する保険ではなく、国が補償している保険です。
地震保険の加入者が増えることは決して悪いことではありませんが
- 保険加入者が増加
- 地震保険の支払額が増加
- 大型地震の多発
となってしまえば、国の財源でも保険金額を担保することができなくなってしまっているのです。
当然のように地震保険の保険料が年々見直しによって改定されているのです。
現時点で決まっているのは19.0%の保険料値上げですが、今後さらに高く設定されてしまう可能性があるのです。
火災保険とセットで加入する地震保険は最長10年まで一括前払いが可能になっています。地震保険にまだ加入していない方は、一括前払いで今のうちに加入しておくというのも、賢い方法なのです。
ちなみに47都道府県の地震保険の保険料(掛け金)は、地震の危険度に応じ、7段階に区分されています。
熊本は一番安いランクに設定されていました。
これは損害保険料算出機構の地震発生の見込みや予測が甘いことを意味しています。今後も後付けで「割に合わないので値上げ」が繰り返されていくことを示唆しているのです。
熊本地震の地震保険データ
2016年5月9日時点
都道府県 | 事故受付件数 | 支払件数 | 支払保険金(千円) |
---|---|---|---|
福岡県 | 7,813 | 3,144 | 1,885,866 |
佐賀県 | 1,074 | 444 | 279,276 |
長崎県 | 430 | 135 | 65,926 |
熊本県 | 134,102 | 33,362 | 56,370,639 |
大分県 | 7,367 | 3,143 | 2,323,017 |
宮崎県 | 237 | 37 | 29,525 |
鹿児島県 | 135 | 19 | 10,113 |
その他 | 360 | 58 | 29,266 |
合計 | 151,518 | 40,342 | 60,993,628 |
出典:日本損害保険協会
過去の大規模地震の地震保険金ランキング
順位 | 発生時期 | 地震名 | 支払保険金 |
---|---|---|---|
1 | 2011年3月11日 | 平成23年東北地方太平洋沖地震 | 12,654億円 |
2 | 1995年1月17日 | 平成7年兵庫県南部地震 | 783億円 |
3 | 2011年4月7日 | 宮城県沖を震源とする地震 | 324億円 |
4 | 2005年3月20日 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 170億円 |
5 | 2001年3月24日 | 平成13年芸予地震 | 169億円 |
6 | 2004年10月23日 | 平成16年新潟県中越地震 | 149億円 |
7 | 2007年7月16日 | 平成19年新潟県中越沖地震 | 82億円 |
8 | 2005年4月20日 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 64億円 |
9 | 2003年9月26日 | 平成15年十勝沖地震 | 60億円 |
10 | 2008年6月14日 | 平成20年岩手・宮城内陸地震 | 55億円 |
出典:日本損害保険協会
まとめ
- 地震保険の加入者は20年で3倍に増加
- 大規模地震の発生件数が増加
- 地震保険の支払額が高騰
- 地震保険料は今後も値上がり予定
という状況にあります。
万が一自宅が震災にあってしまった場合に、自分自身で生活再建の資金を確保するためにも、火災保険に加入していて地震保険に加入していない方は、加入を検討することをおすすめします。