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西日本豪雨では、河川の氾濫による床下浸水・床上浸水などの水害が多発しています。火災保険では、このような水害(水災)による損害はどこまで補償されるのでしょうか?

水災の保険金が支払われる条件

三井住友海上 火災保険「GK すまいの保険」

保険金をお支払いする事故の説明

台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ等によって、床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水を被り保険の対象に損害が生じた場合等をいいます。

損保ジャパン日本興亜 火災保険「THE すまいの保険」

●建物が保険の対象の場合
台風や豪雨等によって洪水(こうずい)となり、家屋が流されたり(建物の協定再調達価額の30%以上の損害*)、居住部分が床上浸水したことにより建物が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

●家財が保険の対象の場合
台風や豪雨等によって洪水(こうずい)となり、家財が流されたり(家財の再調達価額の30%以上の損害*)、保険の対象である家財を収容する建物の居住部分が床上浸水したことにより家財が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

AIU保険 火災保険「スイートホームプロテクション」

①水災によって保険の対象である建物または家財が損害を受け、それぞれの再調達価額の30%以上の損害が生じた場合
②保険の対象である建物または家財を収容する建物が、床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水を被った結果、保険の対象である建物または家財にそれぞれの再調達価額の30%未満の損害が生じた場合

と、火災保険会社ごとに補償条件は若干異なるものの

再調達価額の30%以上の損害
床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水

が条件になっている火災保険が多いようです。

今回の西日本豪雨では「床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水」の被害が多いため、火災保険の水災補償を付けていれば、建物の損害が補償されるということになるのです。

水害(水災)は火災保険でどのくらい補償されるのか?

水害(水災)で支払われる保険金額は

損害額 - 自己負担額 = 損害保険金

損害額:協定再調達価額を基準として算出し、保険の対象を事故発生直前の状態に復旧するために必要な費用

※契約している保険金額が上限になります。
※家財も同じ計算方法となります。

水災の加入率

出典:カカクコム・インシュアランスにおける契約者データ(2016年9月~2017年2月)

マンションは水災被害に遭いにくいので加入する必要性はありませんが

戸建ての加入率

  • 補償あり:18%
  • 補償なし:82%

と、水災補償をつけていない方が8割を超えているのです。

これはなぜかというと・・・

水災補償を外すと火災保険料が約34%も安くなる

ということから、安い火災保険料にするために「水災を外す」という方が少なくないのです。

しかし、

水災補償が火災保険料に与える影響が高い = それだけ水災の被害の発生率が大きい

ことを意味しています。

今回の西日本豪雨を参考にするとすれば

河川・海・山などの近くに戸建て住宅でお住まいの方は、水災補償はつけておいた方が良いのです。

また、水災リスクを検討するときには「ハザードマップ」を参考にすることをおすすめします。

国土交通省ハザードマップポータルサイト

https://disaportal.gsi.go.jp/

重ねるハザードマップを選べば

お住まいの地域の「洪水リスク」「土砂災害リスク」「津波リスク」がマップ上で表示されます。

水災で家具は補償の対象になるの?

家財保険を付けていれば、水災による家具などの被害も補償されます。水災による家財保険の補償の条件は建物と同じく

  • 再調達価額の30%以上の損害
  • 床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水

が基本となっています。

水災で自動車は補償の対象になるの?

自動車は、火災保険では補償の対象にはなりません。自動車保険の車両保険に入っている場合は、車両の損害が補償されます。

水災の保険金支払いの注意点

水災の保険金支払いの保険査定は条件が細かく設定されているため、認定されるまでに時間がかかります。保険金が支払われるまで数カ月かかるケースも珍しくありません。

西日本豪雨では、損害保険会社各社で保険料支払いを猶予

西日本豪雨では、日本損害保険協会は2018年7月8日、災害救助法が適用される京都、広島、岡山など7府県の保険契約者を対象に火災保険などの保険料支払いを猶予すると発表しました。

災害救助法とは

風水害,地震,津波,火災,噴火,土砂災害,大雪などの災害に際して,国が迅速かつ適切な被災者の救助活動を行ない,社会秩序の保全をはかることを目的とする法律のこと

を言います。

火災保険や自動車保険で保険料を支払わないと、払込猶予期間を過ぎれば保険契約が失効してしまいます。

しかし、被災した方は、保険料を支払う余裕はありません。

そこで、損害保険会社各社は、火災保険や自動車保険などの契約者に対して、保険料の支払を猶予する対応を決めたのです。

損害保険会社各社は、現地に対策本部を設置して、対応にあたっています。

まとめ

西日本豪雨などの水害(水災)は火災保険でどのくらい補償されるのか?

  • 再調達価額の30%以上の損害
  • 床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水

という条件で保険金が支払われる設定が多いようです。

ただし、実際の水災の加入状況を見てみると

戸建ての加入率

  • 補償あり:18%
  • 補償なし:82%

であり、水災を付けない方が8割を超えている現状です。

水災は日本では、火災に次いで身近な自然災害ですので、今一度補償内容を見直して、火災保険に再加入することをおすすめします。